おまんじゅうの話

多分どこか寒い国の話だと思います。

 昔々ある所に頭の悪い男と頭の良い女の夫婦がいました。男はなんでもすぐ忘れてしまうような頭の悪さですが、心根は非常に良い男でした。

 ある日男は奥さんに『私の実家にこの荷物を届けていってくれない。』と頼まれました。男は『それじゃ今から行くよ。』と奥さんに頼まれた荷物を持って、奥さんの実家に荷物を届けに出発しました。

 男は町を出、野を越え、山を越え、川を渡り、どんどん進んでゆくと、大きな大きな原っぱがありました。大きな大きな原っぱの真ん中には、小さな小さな川が流れていました。男は橋の所まで行くのが面倒と思い、小さな小さな川を『どっこいしょ』と跳び越しました。男は何も無かったように、どんどん荷物を持って歩いて行きました。川を渡り、山を越え、野を越え、やっと奥さんの実家のある町に着きました。

 男は奥さんの実家で荷物を奥さんのお母さんに渡しました。お母さんは『これわざわざどうもありがとうよ。』と礼を言いました。『せっかく来たんだからおまんじゅうでも食べて行きなさいよ。』と男に勧めました。せっかくだと思い男はおまんじゅうを一口でがぶっと食べてしまいました。あんまり食べっぷりが良かったのでお母さんは大きな大きな皿に山盛りのおまんじゅうを出しました。男は『うまいうまい』と言いながらたくさんたくさんあったおまんじゅうをぺろりと平らげてしまいました。

 これにはお母さんもびっくり。男は『これは何ですか。』と聞きました。お母さんは『おまんじゅうだよ』と教えてくれました。男は『おまんじゅうと言うのか、この作り方を教えてください。』と頼みました。お母さんは笑いながら『おまんじゅうだったら、家でおまんじゅうを作ってくれと頼むと良いよ。あの娘は作り方を知っているよ』と言いました。

 男は急いで帰っておまんじゅうを作ってもらう事にしました。家を出たところで自分が忘れやすい事に気がつきました。『うーん、おまんじゅうって忘れちゃうぞ。何か忘れない方法を考えないと・・・。』男は悪い頭で一生懸命に考えました。『そうだおまんじゅうと言いながら行けば良いんだ。』

 そこで男は『おまんじゅう、おまんじゅう』と言いながら、奥さんの実家のある町を出、野を越える時も『おまんじゅう』、山を越える時も『おまんじゅう』、川を渡る時も『おまんじゅう』と言いながらどんどん歩いて行きました。しばらく進んで行くと、大きな大きな原っぱがありました。大きな大きな原っぱの真ん中には、小さな小さな川が流れていました。男は橋の所まで行くのが面倒と思い、小さな小さな川を『どっこいしょ』と跳び越しました。ところが『どっこいしょ』と言ったため『おまんじゅう』を忘れ『どっこいしょ、どっこいしょ』と言いながら歩いていく羽目になりました。男は何も無かったように、どんどん荷物を持って歩いて行きました。川を渡る時も『どっこいしょ』、山を越える時も『どっこいしょ』、野を越える時も『どっこいしょ』、やっと『どっこいしょ、どっこいしょ』言いながら自分の住んでいる町に着きました。

 家に帰ると男は奥さんに『おーい、行ってきたぞ。お母さんにどっこいしょをご馳走になったぞ。うまかったからどっこいしょ作ってくれ。』と男は言いました。奥さんは何の事だか解りません。『どっこいしょって何ですか?』奥さんは男に言いました。男は『お母さんはお前にどっこいしょ作ってくれと言うと作ってくれると言ったぞ。』と言いました。しかし奥さんは何の事だか解りません。しばらく押し問答が続きました。

 とうとうその内けんかが始まりました。奥さんは力では男にかなわないので台所にあるものを次々に男に投げてゆきます。奥さんが鍋を投げると男の頭にカツーンと当たりました。そして男の頭には大きな大きなおまんじゅうのようなこぶが出来ました。

 奥さんは男のこぶがおまんじゅうみたいだったので笑い出しました。『あははは、まるでおまんじゅうみたい。』男はハッと気がつきました。『そうそう、そのお饅頭だ。お饅頭を作ってくれ。』男はようやく思い出しました。

 男はようやくおまんじゅうを腹いっぱいに食べられて嬉しくなりました。その後二人はずーと仲良く過ごしましたっとさ。

<おしまい>

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